「仕事が忙しくて食生活が乱れがち」「ストレスを発散するためについ甘いものを食べてしまう」――そんな悩みを抱えていませんか?
大正製薬の「肥満に関する意識調査」によると、「太るとわかっていてもやめられないもの」として「お菓子・スイーツ」が60.5%と最も多く挙げられています(1)。また、バナナ大学の調査では、女性の35.8%が「ストレス」による体重増加を経験しているとの結果も示されました(2)。
仕事上のストレスは避けがたいものですが、それに伴う不健康な食習慣は体重増加のみならず、さまざまな健康リスクの増大につながります。本記事では、ストレス太りのメカニズムと、オフィス環境でも実践できる食習慣の改善方法を詳しく解説します。

この記事は以下の方におすすめです。
・仕事のストレスで食べ過ぎる傾向がある方
・忙しくても健康的な食生活を送りたい方
・オフィスでの食習慣を見直したい方
ストレス太りとは?
「ストレス太り」とは、仕事や人間関係などのストレスが原因で過食が進み、体重増加を引き起こす現象です。ストレスが高まると、脳は「食べることでリラックスしたい」という指令を出し、高カロリーな食品を求めやすくなります(3)。
ストレスが食行動に与える影響
研究によると、ストレスがかかると「高カロリー」「高脂肪」「高糖分」の食品を選びやすくなることがわかっています(4)。さらにストレス環境下では身体活動量も減少しやすく(5)、特に運動不足になりがちなオフィスワーカーは体重増加のリスクが高いとされています。
ストレス太りを加速させる職場環境
ストレス太りを招きやすい職場環境には、以下のような特徴があります。
• 長時間労働による食事時間の不規則化
忙しさのあまり、つい食事のタイミングがずれたり、昼食を抜いたりしがちです。
• オフィス内で高カロリー食品を手軽に入手できる
コンビニや自動販売機、差し入れのお菓子などが常に身近にある環境では、誘惑が増します。
• 会議中やデスクワーク時の間食習慣
軽食を取りながら仕事をするのが常態化していると、無意識にカロリーを摂取しやすくなります。
• ストレス発散のための“ご褒美食習慣”
仕事を頑張った分だけ、甘いもので自分をいたわるルーティンが重なるとカロリー過多に陥ります(6)。
オフィスでできる食習慣改善術
ヘルシーな間食の準備
ナッツやヨーグルト、果物など低糖質かつ栄養価が高い間食を常備しておくと、無意識に高カロリーのお菓子に手が伸びることを防げます。
食べる時間を意識する
朝・昼・夕と食べる時間をある程度決めておくと、空腹の波が安定し間食の回数を減らすことができます。食事を抜くことはむしろストレスを増幅させる原因にもなるため注意が必要です。
ストレスマネジメントを取り入れる
食べること以外でストレスを解消できる習慣を身につけることが重要です。軽いストレッチや深呼吸、短い散歩などをこまめに取り入れることで、過食の衝動を抑える効果が期待できます(7)。
今日から始める具体的対策リスト
昼食にバランスの良い食事を選ぶ
野菜、たんぱく質、適量の炭水化物を意識して選びましょう
デスクにお菓子を置かない
目に見える場所や手の届く範囲にお菓子があると、つい食べてしまいます。
こまめな水分補給
水やお茶をこまめに飲むと、満腹感を得やすくなります。
食後に軽い運動を取り入れる
昼休みに10分程度のウォーキングを行うと、消化を助け、リフレッシュにもなります。
私の考え
勤務中の食事、とりわけ昼食は楽しみのひとつ。ストレスを感じていると高カロリーなメニューを選びがちですが、その後に襲ってくる眠気やだるさは生産性の低下にもつながります。私自身も、動物性脂質や炭水化物たっぷりの食事を摂った後に感じる身体の重さを意識することで、過度な摂取を控えるようになりました。「食後の自分の状態」を振り返る習慣をつけると、食べ過ぎを自然にコントロールしやすくなります。
まとめ
ストレス太りは、現代社会で働く多くの人々にとって大きな課題です。しかし、オフィス内での食習慣やストレスマネジメントを少し工夫するだけで、体重増加や健康リスクを抑えることは十分可能です。まずは手軽に始められる間食や食事の時間管理から取り組んでみてはいかがでしょうか。小さな習慣の積み重ねが、健康的な心身をつくる大きな一歩となります。
参考文献
1.大正製薬「肥満に関する意識調査」https://www.taisho.co.jp/newsletter/20240711001600.html
2. バナナ大学「ストレスと体重増加の関連性調査」https://www.banana.co.jp/beauty-lab/research/
3. Tomiyama, J. (2019). Stress and Obesity. Annual Review of Psychology, 70, 703–718.https://doi.org/10.1146/annurev-psych-010418-102936
4. Brunner, E., et al. (2007). American Journal of Epidemiology, 165(7), 828–837. https://doi.org/10.1093/AJE/KWK058
5. Park, S., & Sung, E. (2020). Public Health Nutrition, 24, 499–511. https://doi.org/10.1017/S1368980020000890
6. Peñalvo, J., et al. (2021). The Lancet Public Health, 6, e648–e660.https://doi.org/10.1016/S2468-2667(21)00140-7
7. Matsumura, Y., et al. (2024). Journal of Occupational and Environmental Medicine.https://doi.org/10.1097/JOM.0000000000003238