復職面談は、社員と産業医が話して終わる手続きではありません。診断書の受領、本人同意、職務情報の整理、必要に応じた主治医照会、面談、産業医意見、会社決定、本人・上司への伝達、復職後の再評価までを一つの案件として進める必要があります。各工程で誰が何をするかを実務順に整理します。
最初に押さえる4つの役割
- 本人:復職の意思を示し、必要な情報提供に同意し、面談に参加する
- 主治医:診断と治療を行い、本人の医学的状態について見解を示す
- 産業医:医学情報と実際の職務を結び付け、就業上の措置について意見を示す
- 会社:産業医意見を踏まえ、復職日、配置、勤務条件等を最終決定して実施する
復職面談の前後で行う8つの手続き
| 工程 | 主に行う人 | 具体的な処理 | 残すもの |
|---|---|---|---|
| 1. 受付 | 本人・会社 | 復職意思と診断書を受け、希望日、社内期限、連絡窓口を確認 | 受付日、提出資料、期限 |
| 2. 情報整理 | 会社・産業医 | 復職先の仕事、勤務時間、負荷、安全上の要件、休職前の経過を整理 | 職務情報、不足情報 |
| 3. 本人同意 | 本人・会社 | 取得する医療情報、利用目的、共有範囲を説明し同意を確認 | 同意の範囲と確認日 |
| 4. 主治医照会 | 本人・主治医・産業医 | 必要な場合、具体的な職務情報を添えて医学的留意点を確認 | 照会文面、回答、受領日 |
| 5. 復職面談 | 本人・産業医 | 回復状況、生活リズム、通勤、職務遂行、安全性、必要な配慮を評価 | 面談記録、未確認事項 |
| 6. 意見と決定 | 産業医・会社 | 産業医が条件と再評価時期を示し、会社が復職日と措置を決定 | 産業医意見、会社決定 |
| 7. 実施 | 会社・本人・上司 | 決定内容を必要な範囲で伝え、勤務表、業務分担、勤怠運用へ反映 | 伝達日、実施開始日 |
| 8. 再評価 | 本人・会社・産業医 | 勤務実績と体調を確認し、措置の継続、変更、解除を判断 | 再評価結果、次回日、解除条件 |
産業医は何をしてくれるのか
産業医の役割は、主治医の診断を置き換えることでも、会社に代わって人事決定をすることでもありません。会社から得た職務情報と、本人・主治医から得た医学情報を就業の観点で評価し、「どの仕事を、どの条件なら、安全に継続できるか」を会社が決められる言葉にします。
- 診断書だけでは不足する情報を特定する
- 本人同意を前提に、主治医への照会事項を職務に即して整理する
- 勤務準備性と再発・安全上のリスクを評価する
- 勤務時間、業務制限、配慮、再評価日、解除条件について意見を示す
- 復職後の実績を踏まえ、措置の継続・変更・解除を再評価する
実務で止まりやすいのは「判断の前後」
| 止まりやすい場所 | よくある状態 | 必要な処理 |
|---|---|---|
| 資料回収 | 診断書はあるが、復職先の具体的な職務がない | 勤務時間、業務量、運転、出張、夜勤等を職務情報として追加 |
| 主治医との連携 | 誰が何を聞くか決まらず、照会が遅れる | 本人同意、質問、送付先、回答期限を一つの担当で管理 |
| 日程調整 | 本人、人事、産業医の候補日が往復する | 期限から逆算して面談枠、資料締切、再予約ルールを設定 |
| 会社決定 | 「残業なし」等の表現だけで実施内容が曖昧 | 開始日、対象業務、管理者、確認方法、再評価日まで確定 |
| 復職後 | 措置が期限なく続き、解除根拠が残らない | 勤務実績を確認し、継続・変更・解除を記録 |
面談1回では完了しない
厚生労働省の職場復帰支援の手引きは、休業開始から復職後のフォローアップまでを5段階で示しています。実務上も、復職前面談だけで案件を閉じず、会社決定が実施されたか、勤務が継続できているか、当初の配慮をいつ見直すかまで管理することが重要です。
参考となる公的情報
この記事について:一般的な職場復帰支援の流れを整理したものです。個別案件では、本人の状態、職務、就業規則、休職制度、個人情報の取扱いを確認して調整してください。緊急の治療や安全確保が必要な場合は、復職手続きより医療・緊急対応を優先します。
執筆・監修:宮部 大輔(KIDUKIコンサルティング産業医事務所 代表/内科専門医・心療内科専門医・労働衛生コンサルタント)
KIDUKIの単発相談では、月額契約のない企業でも、復職判定面談を1案件からご相談いただけます。睡眠・生活リズムと職務の関係を確認し、勤務条件と再評価時期まで整理します。