衛生委員会は毎月開いています。議事録も作っています。それでも監督署の調査で議事録を求められたとき、すぐに出せるかどうかは別の話です。

3年分を、開催順に、欠けなく。「作っている」と「残っている」は違います。

この記事では、衛生委員会の記録について、法令が求めていることと、実務でどこが抜けるかを整理します。

法令が求めていること

衛生委員会の設置・運営は労働安全衛生法第18条、運営の詳細は労働安全衛生規則第22条・第23条に定めがあります。

実務で押さえるべき点は3つです。

  • 毎月1回以上開催すること
  • 審議の概要を労働者に周知すること
  • 議事の記録を3年間保存すること

3つ目が、後から効いてきます。開催と周知はその月のうちに意識されますが、保存は3年後に問われるからです。

実務で抜けるのはここです

1. 担当者が変わったときに、それ以前が追えなくなる

議事録が個人のPCや、共有フォルダの中の個人フォルダにあると、担当者の異動で行方が分からなくなります。3年保存とは、担当者が2回変わっても残っているということです。

2. 産業医の勧告の記録が、議事録と別に必要なことを知らない

産業医が事業者に勧告を行った場合、労働安全衛生規則第14条の3により、勧告の内容と、それを受けて講じた措置の内容(講じない場合はその理由)を3年間保存することとされています。また、その勧告の内容は衛生委員会へ報告することとされています。

「議事録に書いてあるから大丈夫」と考えていると、勧告そのものの記録が独立して残っていない状態になります。

3. 開催した記録はあるが、審議の中身が残っていない

「〇月〇日 衛生委員会開催、出席者7名」だけの記録が続いている例があります。これは開催の記録であって、議事の記録ではありません。

後から問われるのは、何を審議し、何を決め、誰がいつまでに実施することにしたか、です。

残すべき項目

最低限、次の項目が揃っていれば、後から経緯を説明できます。

  • 開催日時、場所、出席者(役割ごと)
  • 審議事項と、その結論
  • 産業医からの発言・意見・勧告の内容
  • 決定事項について、誰が、いつまでに実施するか
  • 前回の決定事項の実施状況

最後の項目が入ると、委員会が「報告の場」から「追跡の場」に変わります。決めたことが実施されたかどうかを毎月確認する形になるためです。

保存の設計

3年保存を仕組みで担保するなら、決めておくのは次の3点です。

どこに 個人フォルダではない、担当者交代を越える場所
誰が 作成者と、保存の責任者(同一人物でなくてよい)
いつまで 3年。起算日と、破棄してよくなる日を記録に含める

3つ目が抜けている運用が多く見られます。保存期間を決めても「いつ捨ててよいか」が記録されていないと、実務では捨てられずに溜まり続けるか、逆に整理のときにまとめて消えます。

3年保存が求められる記録は、ほかにもあります

衛生委員会の議事録だけではありません。産業医の勧告内容の記録、健康診断の結果に関する記録(原則5年)、面接指導の結果の記録(5年)など、記録ごとに期間が定められています。

まとめて「一式3年」と扱うと、5年のものが3年で消えます。記録の種類ごとに期間を持たせる必要があります。

次にやること

直近3年分の議事録が、今この場で出せるかを確認してください。担当者に聞かなければ場所が分からない、という状態であれば、それは保存の設計が無いということです。

次に、産業医の勧告があった場合の記録が、議事録とは別に残っているかを確認します。無ければ、次回の委員会から様式を整えます。

保存の方法と場所を決めるのは会社です。産業医は、記録すべき内容と、法令上の位置づけについて意見を述べます。

出典

本記事は一般的な情報提供であり、個別の事業場に対する産業医の意見ではありません。法令の適用は事業場の状況により異なります。