面談を1件設定するのに、メールが7往復します。産業医の空き時間を聞き、本人の勤務を確認し、会議室を押さえ、直前に予定が変わってやり直す。

面談そのものは30分ですが、そこに至るまでに担当者の時間が数時間消えます。

この記事では、日程調整が終わらない理由を分解し、先に決めておけば往復が減る3つのことを整理します。

往復が増える理由

調整が長引く原因は、たいてい能力や熱意ではなく、決まっていない項目が多いことです。

1回のやり取りで決まる項目が1つだけなら、5項目決めるのに5往復かかります。逆に、あらかじめ4項目が決まっていれば、1往復で終わります。

面談1件を設定するために決まっている必要がある項目を並べると、こうなります。

  • 面談の種類(長時間労働/高ストレス/復職/健診事後措置/健康相談)
  • 所要時間
  • 実施方法(対面/オンライン)
  • 事前に必要な資料
  • 同席者の有無
  • 候補日時

このうち上の5つは、面談ごとに考える必要がありません。種類が決まれば残りも決まる、という形にできます。

先に決めておく3つ

1. 面談の種類ごとに、所要時間と方法を固定する

「高ストレス者面談は30分・オンライン」「復職判定面談は40分・対面」のように、種類と条件を対応させておきます。

こうすると、担当者が判断するのは「これはどの種類か」だけになります。所要時間も方法も自動的に決まるので、そこを相談する往復が消えます。

例外は当然あります。ただし例外は例外として扱えばよく、毎回ゼロから決める必要はありません。

2. 種類ごとに、必要な資料を先に決める

面談当日に資料が揃っていないと、面談の質が落ちるか、再設定になります。そして資料の催促は、日程調整とは別にもう一往復を生みます。

種類ごとに必要な資料を決めておけば、日程の案内と同時に資料の依頼ができます。

長時間労働の面接指導 直近数か月の時間外労働時間、業務内容
復職判定 主治医の診断書、休職前の業務内容、復職予定先の勤務条件
健診事後措置 健診結果、業務内容、過去の就業上の配慮の有無

資料の依頼は、何のために必要かを添えて行います。理由が分からない依頼は後回しにされます。

3. 候補日時の出し方を決める

「ご都合はいかがですか」と聞くと、相手は考えて返信します。候補を3つ出して選んでもらう形にすると、1往復で決まります。

産業医の側があらかじめ枠を提示できる状態にしておくと、さらに短くなります。

健康情報の扱いは、調整の段階から始まっています

日程調整のメールに、面談の理由が書かれていることがあります。「高ストレス者面談の件」という件名が、本人以外の目に触れる形で回ることもあります。

面談の種類は、それ自体が健康に関する情報です。誰に何が伝わるかを、調整の段階から設計しておく必要があります。

実務的には、社内の窓口を絞ること、件名に理由を書かないこと、本人への連絡と社内調整を分けることで、多くが避けられます。

仕組みに寄せる範囲

当事務所の継続契約では、この予約・資料の受け渡しを自社開発のCasetraで一つの流れにしています。担当者の手作業を減らし、生まれた時間を睡眠施策や健康経営に使える形をつくることが目的で、システムそのものが目的ではありません。

仕組みを入れなくても、上の3点を決めるだけで往復はかなり減ります。まず決めることから始めて構いません。

次にやること

直近3件の面談設定について、最初の連絡から日程確定までのメールを数えてください。何往復あったか、そのうち何往復が「種類が決まれば不要だった」ものか。

種類ごとの所要時間・方法・必要資料を1枚の表にまとめると、次回から往復が減ります。表を作るのは30分です。

運用の形を決めるのは会社です。産業医は、面談の種類ごとに必要な情報と所要時間について意見を述べます。

出典

本記事は一般的な情報提供であり、個別の事業場に対する産業医の意見ではありません。